2011年2月25日金曜日

(300 character novel)

Express that goes seaward

 
Monday morning. The train to the direction to my office
that was very crowded as usual. Rush-hour.

I came across the idea of taking the train in the
opposite direction, and getting a day off. Express that
goes seaward had come just when I thought so.

I had got on it.

The passenger was few. There were only a few men going
to fishing. After a while, the sea was seen from the
window of the train. The time I should call office had
come.
"Hello? ... I'd like to speak to my manager. ... Is he
absent? ... Please leave a message to assistant manager,
please. ... I take a day off because my grand mother is in
critical condition."
I decided to see the sea today with mind in neutral and
spend the time of half a day. I'll return home after
drinking the beer in the restaurant on the beach.

"Oh, I'm sorry to hear that." I heard the voice of
manager who was going to fishing behind.



The Tokyo Shimbun, The 7th 300 Character Novel, Excellent Prize

【300文字小説】

海へ向かう特急

 
月曜。いつものように電車はこんでいた。殺人的なラッシュだ。

思いきって反対方向の電車に乗って会社サボっちゃおうかな。そう考えたとき、海へ向かう特急が来ちゃったじゃないですか。

えぇーい。乗っちゃえ。

逆方向だから車内はガラガラ。数人の釣り人が乗っているくらいだ。

しばらくすると、車窓に海が見えてきた。会社に欠勤の連絡を入れる時間だ。

「もしもし。部長につないでください。え? 今日は休み? じゃあ次長に伝言をお願いします。今日、祖母が危篤になったんで休みます」

やった。半日くらいボーッと海を眺めて、浜辺のレストランで大ジョッキ飲んでから帰ろう。

「そうか。それは気の毒だな」

背後から、釣り人姿の部長の声が…。
 
 
 
(東京新聞:第7回300文字小説賞 優秀賞 受賞作品)

 
 
 

2011年2月14日月曜日

【300文字小説】

間違い電話

 
「もしもし、吉田さんを出してください」

「あいにく、こちらに吉田というものはおりませんが、どのようなご用件でしょう?」

「その人、昨日うちの店で飲んだあと財布忘れたって言って、飲み代とタクシー代って言って、わたしから5万借りてったのよ。それで、貰った名刺を見て電話かけてるんだけど!」

「ほほう。5万ですか……。ちなみにその名刺には何という会社名が印刷されていますか?」

「ネ・タレサマダ」

「ネ・タレサマダ? 後ろから読んでみてください」

「えっ、まさか……」

「簡単に知らない人を信用しないようがいいですよ」

「そ、そうですか……。先程は、失礼しました。いい勉強になりました……(ガチャ)」

また一件、仕事を終えた。
 
 


【300文字小説】

集中力

 
「あっちゃーん! おもちゃ片付けて早く下に降りてきなさーい」

「はーい」

 ぼくは部屋中に散らばったおもちゃを見つめて集中した。

「さあ、ごはんよ」

「いっただきまーす」

「あっちゃん。うち以外で、それやっちゃだめよ。

 ちゃんと『お醤油をとってください』って言ってちょうだい。

 他の人はそんなことしないの。手を使ってとるのよ。わかった?」

「わかってるよ、ママ。でも、かずくんも、ゆきちゃんもできるんだって」

「本当か? それは。パパの子供の頃は、そんなこと誰もできなかったぞ。

 見ただけで遠くにある物を引き寄せるなんて」

「あら、そう言えば今日の夜、月蝕ですって」

「あ、思い出した。理科の宿題で、月蝕の観察をしてきなさいって」
 
 


【300文字小説】

移動空間

 
苦労してタイムマシンを手に入れた。彼女が謎の変死をする前に、もう一度会いたい。

忘れもしないあの日の朝、彼女は殺されたのだ。現場の座標と直前の日時を入力し始動レバーを倒す。

マシンが細かく振動し重力の変化が起こる。しばらく酩酊したようなめまいを感じたが、やがて意識が戻ってきた。

見覚えのある町並み。彼女は学校に行こうと玄関から出てきた。胸の鼓動を悟られないよう、私はタイムマシンのウインドウを少し開け、道を尋ねるふりをして少し会話をした。

怖い。やはり自分にはこれから起こるはずのことを直視できない。

「さよなら」

だが、帰還するためのレバーを倒すのが早過ぎた。マシンの周囲、半径3m以内の空間が移動したのだ。
 
 


2011年2月13日日曜日

300文字小説

おそらく、2004年に誕生した小説の新ジャンル 「300文字小説」
たぶん、2007年に東京新聞で投稿コーナーが開設され、
2011年1月で「300文字小説賞」は第7回を数えます。

入選作品は、サンデー版とウェブで、
毎週日曜日に3点ずつ掲載され、
半年毎に最優秀賞1点と優秀賞数点が選ばれます。

ところが、この「300文字小説」、
数百年の歴史がある俳句や短歌と違って、
まだ手垢の着いていない新ジャンルの投稿系趣味であるだけに、
超マイナー。Google先生に聞いてもあまり教えてもらえません。(笑)

でも意外とハマります。
小説家になった気分。\(^-^)/

今回、その第7回で優秀賞を受賞したのを機に、
「300文字小説」の創作を支援するページを作りました。
もっとはやく作っておけばよかった。すごい便利。(自画自賛)

今後、これまでの没原稿や習作などを
このブログに掲載していくことにしました。