【300文字小説】
集中力
「あっちゃーん! おもちゃ片付けて早く下に降りてきなさーい」
「はーい」
ぼくは部屋中に散らばったおもちゃを見つめて集中した。
「さあ、ごはんよ」
「いっただきまーす」
「あっちゃん。うち以外で、それやっちゃだめよ。
ちゃんと『お醤油をとってください』って言ってちょうだい。
他の人はそんなことしないの。手を使ってとるのよ。わかった?」
「わかってるよ、ママ。でも、かずくんも、ゆきちゃんもできるんだって」
「本当か? それは。パパの子供の頃は、そんなこと誰もできなかったぞ。
見ただけで遠くにある物を引き寄せるなんて」
「あら、そう言えば今日の夜、月蝕ですって」
「あ、思い出した。理科の宿題で、月蝕の観察をしてきなさいって」
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