【300文字小説】
間違い電話
「もしもし、吉田さんを出してください」
「あいにく、こちらに吉田というものはおりませんが、どのようなご用件でしょう?」
「その人、昨日うちの店で飲んだあと財布忘れたって言って、飲み代とタクシー代って言って、わたしから5万借りてったのよ。それで、貰った名刺を見て電話かけてるんだけど!」
「ほほう。5万ですか……。ちなみにその名刺には何という会社名が印刷されていますか?」
「ネ・タレサマダ」
「ネ・タレサマダ? 後ろから読んでみてください」
「えっ、まさか……」
「簡単に知らない人を信用しないようがいいですよ」
「そ、そうですか……。先程は、失礼しました。いい勉強になりました……(ガチャ)」
また一件、仕事を終えた。
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