【300文字小説】
大自然
雲一つない晴天だというのに、何やら穏やかではない。トラブルになっているようだ。
「おい、それ以上近づいたら承知しないぞ」
「お前のほうこそ出て行け」
「この林に入るなっていってんだろっ」
「冗談じゃねぇ」
「やるか!」
「おう!」
しばらくすると、こんどは若者たち集まってきて、いっせいに叫びはじめた。
「おーい、だれか俺と付き合ってくれー!」
「俺の彼女にならないかーい!」
「こいつよりぼくのほうがイケメンだよー!」
「嫁に来ないかー!」
山頂に向かうロープウェイの中ではこんな会話があった。
「やっぱり自然は最高だな」
「たまにはこうして休暇をとって都会を離れるのもいいわね」
「まったくだ。鳥の鳴き声もうるさいくらいだな」
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